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任意売却の基本〜メリットやデメリット、仕組みや流れについて解説します~

2021.03.03

住宅ローンの支払いが、なんらかの事情で滞ってしまったりした際に行う売却方法のひとつが任意売却です。ここでは、任意売却の基本的な流れや、仕組み、メリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。



任意売却とは?

任意売却とは、住宅ローンなどの借入金が返済できなくなった場合、売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する方法です。

任意売却の基本的な流れ

任意売却を行う際の、基本的な流れを順に沿って詳しくご説明いたします。

ローンの残高証明を確認

任意売却を検討することになったら、まず現時点におけるローンの正確な状況の把握が必要となります。 ローンがどのくらい残っているかという正確な数値は、借り入れを行っている金融機関へ「残高証明」の発行を依頼することで正確な残高の確認ができます。

不動産会社の査定・プランを待つ

ローンの残高など、現状の整理ができたら、任意売却を扱っている不動産会社を探しましょう。そこで相談を行い、不動産の査定を依頼します。 不動産業者は依頼を受け、物件の調査を行います。近隣エリアの不動産価格の相場や、取引事例などを元に査定額を算出し、販売価格を決定後、売却プランを提示します。

任意売却の手続きを行う

不動産業者が提示した、任意売却のプランと販売価格に対して同意したら、任意売却の手続きに進みます。 不動産業者と媒介契約を結びますが、任意売却の場合は1社と契約を行う、専任媒介契約、もしくは専属専任媒介契約となることがほとんどです。媒介契約を締結した後に、任意売却の手続きを行います。 不動産業者が債権者に対し、任意売却の申請を行います。合意を得ることができたら、販売活動に入ります。 その後、購入希望者が現れたら、売却価格の交渉成立後に売買契約に進みます。この際、購入申込書・売買代金配分票を債権者に提出し、許可を得ることが必要です。

不成立となってしまう理由

通常の売買と同様に、購入希望者が現れなかったり、売買契約まで至らなかった場合、売買は当然不成立になります。 また、マンションの修繕積立金など、滞納金が多額の場合には、購入者が引き継ぎを受け入れず、不成立になりやすいです。 さらに、任意売却の場合は、購入者がいても債権者の合意が得られなかったら、売却は不成立となってしまいます。

任意売却の仕組み



任意売却は、ローンの返済ができなくなってしまった時、競売になる前に自分自身の意志で売却をする仕組みのことです。ここでは、任意売却のタイミングや競売との違い等について詳しく解説いたします。

任意売却のタイミング

何らかの事情で住宅ローンを3か月~6か月ほど滞納すると、住宅ローンの借入先である金融機関は、債権回収会社を通じて、住宅ローン残債の一括返済の請求を行います。一括返済が出来ない場合、不動産は通常、競売にかけられます。 しかし、競売は低価格で落札されやすく、時間もかかるため、債権者側としても不利益をこうむります。 この競売の前のタイミングで、任意売却を行うことで、双方にとっての不利益を回避する可能性が高くなります。

競売とはどう違う?

自分の意志で行う任意売却と違い、競売が決まると自分の意志とは関係なく、裁判所の執行官などが現況調査に訪れたり、新聞などに競売情報として掲載されたりしてしまいます。 結果として、大勢の人に知られることになってしまい、プライバシーにも関わります。また、競売の落札価格は市場価格より安くなる傾向にあります。 任意売却でしたら、自分の意志で売却をしますので、一般的な売却とほぼ同じ手順、市場価格で売り出すことができます。契約日なども交渉が可能です。

任意売却と自己破産

不動産を任意売却しても残債があり、収入を考えても返済をできる見通しが厳しいようであれば、自己破産を選ぶこともできます。任意売却を行ったあとに自己破産をすると、住宅ローンなどの債務分は、ほぼ免責にすることができます。 自己破産を選択する場合は、一般的に弁護士に依頼を行います。その後、裁判所より自己破産の許可を受けることが必要です。

住宅金融支援機構について

フラット35など、住宅金融支援機構から借り入れを受けて不動産を購入している場合、住宅ローンの返済が厳しくなり、滞納が3か月を超えると、任意売却のパンフレットが郵送されてきます。 住宅金融支援機構は、滞納が6か月を超えると「全額繰上償還請求」という措置が行われ、競売にかけられます。 この手続きが行われると、任意売却をしたくても、手続きができない可能性が高くなります。競売を避けたい場合は、パンフレットが届いた時点で任意売却を進める必要があります。

抵当権について

住宅ローンを組む場合には、購入した物件に抵当権が設定されます。通常は完済をしなければ抵当権は解除されません。しかし、任意売却であれば、売却をしても、まだ残債があるという場合でも抵当権を解除してもらうことが可能です。

滞納があるとどうなる?

もし物件の管理費等や税金の滞納がある場合、任意売却を行えば、売却した代金の中から滞納分や引っ越し代、転居費用などを配分してもらうことができます。 ただし、債権者が許可をした範囲内、という条件がありますので、滞納があれば事前に相談を行うことが得策です。

連帯保証人について

住宅ローンを組む際には、連帯保証人を立てることもあります。借入先は、ローンの滞納があれば連帯保証人にも返済の義務があるため、連帯保証人にも通知します。 そのため、任意売却の場合は連帯保証人の合意も必要となりますので、あらかじめ話し合っておきましょう。

任意売却の費用

任意売却を行う際に必要となる費用は、一般的に物件を売却する場合と同じです。売却が成立すると、売買契約で記載された不動産業者への仲介手数料や、抵当権抹消費用などが必要となります。 これらの費用は、売却した代金の中から、清算することが可能です。

任意売却をする場合のメリット



任意売却を行う場合のメリットについて、詳しくご紹介いたします。

手数料を売却額から支払うことができる

物件が競売になってしまうと競売申し立て費用など、別途費用がかかります。ですが任意売却の場合は、仲介手数料や税金などの費用は売却額の中から差し引くことが可能です。

通常の仲介と同様に家を売却できる

任意売却は通常の物件販売と同じように、売却ができることも大きなメリットです。 競売は市場価格より安い値が付けられる可能性が高いですが、任意売却であれば、不動産業者が市場価格を査定し、適切な売却価格で販売することができます。売却益で残債をなくす、もしくは少なくすることが可能です。

残債を分割で返すことができる

任意売却では、売却をした後にも債務が残っている場合、借入先と話し合って分割して返済することが可能です。収入を考慮し、生活を送る上でも差しさわりがなく、現実的な返済方法で対応してもらうことができます。

任意売却をする場合のデメリット



任意売却ではメリットがある一方、デメリットももちろんあります。それぞれのデメリットについて、具体的にご説明いたします。

与信情報に瑕疵がつく

任意売却をするためには、住宅ローンを3か月~6か月滞納していることが条件になります。ローンだけではありませんが、借り入れが3カ月以上滞った場合には、与信情報と呼ばれる信用情報機関に滞納の情報が記録されます。この信用情報機関に登録されてしまうと、7年間程度は金融機関からの借入等が出来なくなる等の影響があります。

売却しても利益は残らない・場合によっては自己破産

任意売却を行い、物件が売却できたとしても、売買代金から手数料や滞納している料金などを差し引くと、ほとんど利益が残らないと考えるのが妥当です。また、売却をしても残債が残り、返済が難しい場合には、自己破産も考えられます。

競売になる可能性もある

任意売却は市場価格と照らし合わせて販売を行いますが、残債との差が出てしまっている場合、銀行などから同意が受けられないこともあります。また、売却に出しても、長期間売れない場合は競売を申し立てられてしまいます。

まとめ



任意売却を選択する場合、任意売却ならではの仕組みや、メリットやデメリットをしっかり踏まえておきましょう。納得のゆく売却を行うために、信頼できる不動産仲介業者を選ぶようにしましょう。

最後までお読みいただき有難うございました。

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