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福岡の投資用マンション購入・売却・買取をわかりやすく解説
2025.07.14はじめに
賃貸不動産のオーナー(大家さん)が変わることを不動産用語で「オーナーチェンジ」といいます。賃貸不動産には土地や戸建てアパートやマンションなどの種類がありますが、不動産会社である私達はそれらを総称し「物件」と言うことが多いです。
大家さんが変わる不動産、つまりオーナーチェンジが行われる物件のことは「オーナーチェンジ物件」「収益物件」「投資用不動産」「投資不動産」などと言っております。
この記事は、投資不動産の売却が未経験の方に向けて、その中でも、福岡に建っているマンションの一室を売却されようとしている個人の売主様に絞り込んで、一から詳しく解説した内容になります。既に投資不動産の売却経験がお有りになる売主様には物足りない内容かと存じますのでご了承ください。
これまで、投資マンションを数多く買取ってきた弊社より、福岡市はもちろん、福岡県内でこれから投資マンションを売却される個人の売主様へアドバイスできることを判りやすくまとめております。
目次
1.投資不動産の売却方法とは?
(1)投資用不動産の売却方法には「買取」と「仲介」の2種類がある
(2)投資マンションの売却方法:買取と仲介の比較表
(3)投資用不動産の買取保証とは
(4)投資用不動産の買取保証での注意点とは
2.投資用マンションの売却「買取」VS「仲介」を徹底的に比較してみた
(1)投資マンションを現金化するまでのスピードは?
(2)投資マンションの買取と仲介では諸費用に差が出る
(3)投資マンションの買取と仲介では売却金額に差が出る?
(4)投資マンションを『買取業者による買取』と『仲介で売却』した場合の最終的に手元に残る金額について
(5)結局、福岡で投資マンションを売却するなら買取と仲介どっちが良いの?
3.投資マンションの買取での相性の良し悪しとは?
(1)買取に適した福岡の投資マンションとは?
(2)買取に向いてる投資マンションの売主様は?
4.投資マンションの買取で買取業者を決めるコツ
(1)投資マンションの買取に対応している買取業者の探し方
(2)実際に投資マンションを買取って貰う買取業者の選び方
5.福岡の不動産会社が買いたいと思う投資マンションはどんな物件?
(1)買取業者に好まれる投資物件とは
(2)福岡市営地下鉄沿線の投資マンション、単身用とファミリー用どっちの需要が多い?
6.投資用のマンションを不動産業者が買取る際の流れ
(1)投資マンションを少しでも高く買取って貰う方法、コツ
(2)投資マンションの査定を依頼する際に揃えておくもの
(3)投資マンションを買取業者が査定する方法
7.投資用マンション、売買契約の流れ
(1)買取業者から投資マンションの購入申込書が届く
(2)投資マンションの購入申込書に記載されている取引条件を確認する
(3)投資マンション売買契約、決済に向けて必要書類や印鑑を準備する
(4)投資マンションの売買契約を締結し手付金を受け取る
(5)投資マンションの融資を受けている場合は融資元に連絡を入れる
8.投資マンションの決済と引き渡しについて
(1)投資マンションの残代金を受取り、物件を引渡す
(2)投資マンションを買取って貰った時にかかる諸費用は?
(3)投資マンションの地位承継通知を行う
9.投資用のマンションを業者に買取って貰う際の注意点
(1)投資マンションの売却、仲介で買取業者を紹介されると手数料が発生する
(2)買取査定前に投資マンションの管理委託契約を確認しておく
(3)投資マンション、高すぎる買取査定額には注意が必要?
10.投資マンションの買取を断られることもある
(1)投資マンションの買取条件とは
(2)投資マンションは表面利回りがよくても買取を断られることがある
(3)サブリース契約付きの投資マンションは買取を断られることがある
11.まとめ

写真提供:福岡市
1.投資不動産の売却方法とは?
冒頭にも記載しておりますが、投資用不動産を所有されている方は、既に不動産売買の仕組みや流れをご存知の方も多いと思いますが、オーナー様の中には投資マンションを突然相続し、これまでの人生でマンション売買の経験が全く無い方も多くいらっしゃいます。そのような新米のマンションオーナー様にも理解していただけるように、判りやすく1から解説していきたいと思います。(売買に慣れていらっしゃる投資家さんには既知の情報ばかりだと思います。ごめんなさい。)
まず、マンションを売却する方法には『仲介での売却』『買取での売却』の2種類があります。次の項でその違いを詳しく説明いたします。
(1)投資用不動産の売却方法には「買取」と「仲介」の2種類がある
不動産用語で「買取」とは、売主様が所有されているマンションを国または都道府県から「あなたは不動産の取り引き(宅地建物取引業)を行っていいですよ」という営業許可が下り宅地建物取引業の免許が交付された不動産会社が直接購入することを意味しています。宅地建物取引業者免許を持たない、例えば、一般の企業や投資家が売主様からマンションを買うことは、ここで言う「買取」にはあたりません。
次に「仲介」について説明します。売主様が宅地建物取引業者以外にマンションを売却する殆どの場合、売主様と買主様を仲介する不動産会社(以下、仲介業者)が間に入ります。この売買形態のことを「仲介」といいます。売主様と買主様の双方は仲介業者に仲介手数料を支払います。他にもこういったパターンも「仲介」にあたります。免許を持った不動産会社が買主なのですが、売主様と買主である不動産会社の間に仲介業者が入る場合です。このパターンでは仲介業者は買主である不動産会社からのみ仲介手数料を貰い、売主様からは仲介手数料を貰わないケースもありますので、売主様は必ず売買契約を締結してしまう前に、仲介手数料の有無を仲介業者に確認されてください。確認方法ですが、仲介業者が間に入ると決まった時点で、売主様と仲介業者で媒介契約書を取り交わします。この媒介契約書面の中にある「約定報酬」という項目が仲介手数料にあたりますので、その項目について仲介業者からきちんと説明を受けられてください。
不動産会社による「買取」の場合、売主様は仲介業者を介さず直接売却しますので、仲介手数料は必ず不要になります。それだけを聞くと「買取」の方がお得!と、思われるでしょうが「買取」「仲介」それぞれにメリット、デメリットがあります。
ちなみに、宅地建物取引業の免許は国または都道府県から交付されますが、国から交付の方が偉いとかはなく、二つ以上の都道府県に事務所を設置する場合は国土交通大臣から免許が交付され、一つの県だけに事務所を設置する場合は、その設置する都道府県知事から免許が交付されます。例えば、福岡県に本店、佐賀県に支店を構える場合は二つ以上の都道府県にまたがるので国土交通大臣免許が交付されます。福岡市に本店を構え、支店を福岡県内だけに展開している場合は福岡県知事免許が交付されるということです。
(2)投資マンションの売却方法:買取と仲介の比較表
買取で売却 | 仲介で売却 | |
売却先 | 買取業者 | 個人投資家もしくは買取業者や企業、団体 |
売却手続き期間 | 早くて1カ月程度、早期売却が可能です。 | 早くて3カ月、買い手が現れなければ長引きます。 |
売却価格 | 相場価格より安くなることが多く一般的に相場の7~8割前後です。 | 市場の相場価格 |
仲介手数料 | 不要 | 必要 |
(3)投資用不動産の買取保証とは
まずは売主様が保有されている投資マンションを仲介で売却に出します。仲介での売却依頼を受けた不動産会社ではレインズはもちろん、楽待や健美家など投資物件専門のポータルサイトやアットホーム、不動産連合隊といった居住用に加えて投資物件も取り扱っているポータルサイトに掲載するといった、買い手を見つけるための売却活動を行います。しかし不動産会社の努力も虚しく、一定期間経っても売却に至らなかった場合、事前に取り決めておいた金額で買取業者が買い取る保証をする仕組みのことを買取保証といいます。先程の表に記載しております通り、仲介を利用した方がマンションの売却価格は高くなります。マンションをなるべく高額で売却したいけど、早期で現金化する必要がある場合、買取保証を利用すれば、まずは仲介を利用してマンションを市場に出し、一定期間経過しても買い手が現れなければ、買取業者に買い取って貰えますので、売主様にとっては売却の確実性を高められるうえ、売れ残るというリスクが軽減されます。買取と仲介の良いとこ取りの仕組みに見えますが注意点もありますので、次の項で説明します。
(4)投資用不動産の買取保証での注意点とは
買取保証では、最初に物件を仲介で売り出しますので、売主様は不動産会社と媒介契約という契約を締結します。媒介とは売主様と買主様の仲立ち、即ち仲介をしますという意味あいになります。この媒介契約には3種類あります。
一般媒介契約:複数の不動産会社を仲介の窓口にできる
専任媒介契約:1社のみを仲介の窓口にする、売主様自身でも買い手を見つけることができる
専属専任媒介契約:1社のみを仲介の窓口にする、売主様自身で買い手を見つけることはできない
買取保証を利用する場合、売主様は不動産会社と専任、専属専任のどちらかの媒介契約を結びます。媒介契約締結にあたり注意が必要なことは、最初に仲介で売却に出し『いつ』までに売却できなければ『いくら』で買取りますという文言を媒介契約書に盛り込む、もしくは、別途覚書を交わすということです。なぜなら、買取る資金力が無いにもかかわらず、なんとしても自社で仲介手数料を貰おうと考える不動産会社は、買取保証を口約束で済ませ、仲介で売りに出すが、いつもで経っても売れ残り、最終的に買取保証の口約束を反故にするような悪質な事例もあると聞きます。 反対に、仲介で売る気が無く、買取る気マンマンの不動産会社は仲介での売却活動をおろそかにし、頃合いを見計らって「仲介で売却できなかったので買取ります」と言ってくることが考えられます。媒介契約を専任や専属専任で締結すると、不動産会社はお預かりした物件をレインズ(Real Estate Information Network System 不動産流通標準情報システム)という全国の不動産会社が物件情報を閲覧できるシステムに掲載する義務があります。不動産会社がレインズに掲載した時点でレインズシステムから登録証明書が発行され、その登録証明書は売主様に交付する義務が宅地建物取引業法で定められています。登録証明書の下の方にQRコード(URL)とID・パスワードが記載されていますので、そちらを閲覧することで不動産会社がきちんとレインズに掲載しているかの確認ができます。特に、投資マンションは全国に買い手候補がいますので、全国の不動産会社が閲覧できる状態にしておくことが非常に重要になります。 しかし、そもそも投資マンションで買取保証を行っている買取業者は少数になりす。理由は不動産会社が物件を買取る際は多くの場合で銀行融資を利用します。銀行融資は実需用の物件(居住用目的で売買される物件)の方が付きやすく、投資不動産であるオーナーチェンジマンションの購入には融資が付きにくい傾向にあるからです。 また、買取保証を行っている買取業者の買取価格より、買取保証を行っていない買取業者の買取価格の方が高い場合があります。このような点から、売主様が買取保証を検討する場合は、まず複数の買取業者に買取価格を出して貰ったうえで、買取保証を利用するのかを慎重に検討する必要があります。
2.投資用マンションの売却「買取」VS「仲介」を徹底的に比較してみた

(1)投資マンションを現金化するまでのスピードは?
不動産会社は投資に限らず不動産の売却を依頼されると、最初に様々な角度からその物件を分析し、そして相場を確認し、その不動産物件が一体いくらで売却ができそうなのかを判断し、売りに出す金額を割り出します。不動産会社が売り出し金額を算出することを不動産査定といいます。
本題に戻ります。不動産会社が最初に行う査定から、最終的なマンションの引渡しまでのスピードを買取と仲介で比較すると、圧倒的に買取の方が早くなります。査定価格を売主様に提示するスピードは買取も仲介も同じくらいですが、その後、仲介の場合はマンションを市場に出してから買い手が見つかるまでに日数を要します。そして、そこから多くの場合、買主様は融資を利用しますので、金融機関によるローンの審査が始まります。つまり、仲介で売却する場合はマンションを市場に出してから、売買契約、最後の引渡しまでに数カ月以上かかることになります。投資マンションを仲介で売却する場合、利回りが悪かったり、立地や築年数などで賃借人が付きにくかったりなどと言ったマイナス要素があるマンションですと、買い手が見つかるまでに1年以上かかることはざらにあり、2年3年かかった事例も数多くあります。
一方、不動産業者による買取で売却をする場合は、売主様が買取価格にご納得されれば、買取業者はすぐに売買契約締結の準備に入り、査定から最短1週間程度で売買契約書を取り交わし、売主様に頭金をお支払いすることができます。その後、買取業者の資金繰りさえ整えば数週間で物件の引渡しを完了し、売主様は売却金額の残代金を受け取ることができます。つまり、マンションの引渡し完了までの期間は、仲介で売却する場合は数カ月~1年以上かかり、買取で売却する場合は最短数週間~長くても2カ月程度で取引を完了することができます。
(2)投資マンションの買取と仲介では諸費用に差が出る
買取業者による買取では仲介手数料が不要になりますので、この点は買取でのメリットの一つになります。マンションの売却価格が1,000万円の場合の仲介手数料を例にあげます。
・仲介手数料:1,000万円×3%+6万円=36万円
・仲介手数料にかかる消費税:3万6千円
仲介手数料+消費税の39万6千円が仲介では必要で、買取では不要になります。 その他、投資用のマンションの売却にかかる諸費用は、仲介でも買取でも同じ金額がかかります。
(3)投資マンションの買取と仲介では売却金額に差が出る?
売却価格を買取と仲介で比較すると、一般的に仲介で売却した方が高い売却価格になります。理由は仲介の場合は投資市場の相場価格で取引きされますが、買取では、買取業者は買取ることで会社の利益をあげなくてはなりません。利回りが良いマンションはそのまま所有し家賃収入を得続ける事もあるでしょうが、買取業者がマンションを買取る時は、その後に売却する事までを考慮して買取価格を設定します。つまり、売却価格で利益を確保する余地を考えると、どうしても買取価格は市場相場より安くなります。但し、金銭面で買取と仲介を比較する場合、単純に売却価格だけを見るのではなく、もっと広い視野、長いスパンで相対的に考える必要がありますので、次の項で説明します。
(4)投資マンションを『買取業者による買取』と『仲介で売却』した場合の最終的に手元に残る金額について
多くの売主様が一番気にかけておられるのはこの部分だと思います。最終的に手元に残る金額を買取と仲介で比較してみましょう。先程から、不動産物件の売却価格は「買取」を利用するより「仲介」を利用して売却した方が高く売却できると書いてきました。例えば、買取業者による買取価格を仲介での売り出し価格の8割として考えます。(家賃が低い、利回りが悪いなどのマイナス要因があれば、買取価格が仲介での売り出し価格の6~7割になることも多くあります。)
下表の水色部分のように仲介での売却価格が1千万円だった時に買取価格は800万円になります。
仲介で時間を要さずスムーズに売却できると、売却額の1千万円から仲介手数料や消費税を差し引いた9,604,000円がお手元に残ります。一方、買取の場合、仲介手数料はかかりませんので買取価格の800万円が全て売主様の元に入金されます。この場合、最終的に手元に入る金額は仲介の方が1,604,000円高くなります。(実際の売却時には仲介と買取のどちらにも登記費用や収入印紙代、司法書士への報酬などの諸費用が別途かかり、売却益がでた場合は所得税、住民税が課されますがここでは省略させて下さい。) もし、1千万円で中々買い手が付かず最終的に200万円値下げし売却価格が800万円だった場合、仲介で手元に残る金額は7,670,000円になります。買い手を待っている期間が数カ月~1年以上だとして、その期間、管理費や修繕積立金といった固定費や税金、不動産投資ローンが残っている場合はローンの支払いが生じます。それらの金額が家賃を上回っていたら月々の収支はマイナスとなり、毎月手出しがでてきます。もし、最初の段階で買取を選択していれば、すぐに手元に800万円が入り、その後の毎月の手出し分も不要だったことになります。投資用のマンションは居住用マンションと比較して売却までに時間がかかる可能性が高い場合が多いので、売却する際には、仲介か買取で迷われるお客様が多くいらっしゃいます。これから投資マンションを仲介で売りに出しても、売却までに時間がかかりそうな場合や、実際に今現在売却中だけど中々売れない場合は、一度、買取業者による買取査定を受けることに一考の余地があるのかもしれません。買取での売却を検討する場合は、買取価格ではなく、仲介と比較し、最終的に手元に残る金額を算出することが大切になります。
(単位:円)
A | B | C | D | E | 差額 |
売却価格 (市場相場) |
仲介 手数料 |
消費税 | 仲介で手元に 入る金額 Aー(B+C) |
買取額 (A)売却価格の 8割想定 |
D-E |
5,000,000 |
210,000 |
21,000 |
4,769,000 |
4,000,000 |
769,000 |
6,000,000 |
240,000 |
24,000 |
5,736,000 |
4,800,000 |
936,000 |
7,000,000 |
270,000 |
27,000 |
6,703,000 |
5,600,000 |
1,103,000 |
8,000,000 |
300,000 |
30,000 |
7,670,000 |
6,400,000 |
1,270,000 |
9,000,000 |
330,000 |
33,000 |
8,637,000 |
7,200,000 |
1,437,000 |
10,000,000 |
360,000 |
36,000 |
9,604,000 |
8,000,000 |
1,604,000 |
11,000,000 |
390,000 |
39,000 |
10,571,000 |
8,800,000 |
1,771,000 |
12,000,000 |
420,000 |
42,000 |
11,538,000 |
9,600,000 |
1,938,000 |
13,000,000 |
450,000 |
45,000 |
12,505,000 |
10,400,000 |
2,105,000 |
14,000,000 |
480,000 |
48,000 |
13,472,000 |
11,200,000 |
2,272,000 |
15,000,000 |
510,000 |
51,000 |
14,439,000 |
12,000,000 |
2,439,000 |
16,000,000 |
540,000 |
54,000 |
15,406,000 |
12,800,000 |
2,606,000 |
17,000,000 |
570,000 |
57,000 |
16,373,000 |
13,600,000 |
2,773,000 |
18,000,000 |
600,000 |
60,000 |
17,340,000 |
14,400,000 |
2,940,000 |
19,000,000 |
630,000 |
63,000 |
18,307,000 |
15,200,000 |
3,107,000 |
20,000,000 |
660,000 |
66,000 |
19,274,000 |
16,000,000 |
3,274,000 |
※別途、登記費用や収入印紙代などの諸費用がかかります
※売却で利益がでた場合は所得税、住民税が課されます。
(5)結局、福岡で投資マンションを売却するなら買取と仲介どっちが良いの?
ここまでは売却スピードと売却価格の面から見て「買取」と「仲介」を比較してきましたが結論としましては、利回りが良い且つ福岡市及び近郊で、福岡市営地下鉄空港線、箱崎線、七隈線、西鉄天神大牟田線、JR鹿児島本線の駅から徒歩10分圏内に立地しているマンションで、築年数が新しいなど、空室になっても直ぐに賃借人がつくような条件の良い物件は、市場相場の価格で売却に出すと投資マンションでも比較的早く買い手が現れると考えられますので、仲介で売却に出す方がお薦めです。利回りが良くても、立地が悪かったり築年数が古かったり、何かしらのマイナス要素がある投資物件は、まずは仲介で売却に出してみて反響が無ければ買取を検討されることをお薦めします。何故、まずは仲介なのかと申しますと、マンションの買取を専門に行っている買取業者の多くは買い取ることができるマンションの基準を細かく定めています。基準とは、例えば・利回りが6パーセント以上・築25年以内・専有面積45平米以上等々です。不動産会社の営業部門や営業マンには買取目標件数が設定されいている場合が多く、もし、仕入れ目標が達成できそうにない時は、買取基準を少しゆるくして仕入れる場合があります。仲介で売却に出している物件の利回りが良ければ、買取基準がゆるくなっているマンション買取業者の目に留まり、多少の値引き交渉は入るかもしれませんが、買取を利用するよりも高い仲介での売り出し価格で物件を無事早期に売却できる可能性があります。また、2025年現在、天神ビックバンや博多コネクティッドの影響もあり福岡市及び近郊の不動産は高止まりしており、関東や関西方面から福岡に参入してくる不動産会社が多くあります。福岡に参入してきた買取業者は、福岡の物件は関東関西の大都市圏に比べ割安だと感じる場合も多いですし、まずは何よりも福岡で買取を行ったという実績を作りたいので買取の基準が多少は緩くなっている可能性があります。仲介で売却に出している投資物件が、そのような新規参入業者の目に留まれば、ご祝儀査定で仲介での売却価格に近い金額で買取って貰えるかもしれません。いずれの場合も仲介で売却する際は依頼している仲介業者に媒介契約書に記載されている仲介手数料は支払わらなくてはなりません。 もし、所有している物件の利回りが悪く、立地などの条件も悪い物件で、早期に売却する必要がある場合はスピーディに現金化できる買取がお薦めです。但し、条件が悪い物件は買取業者の買取額も低くなりますので、必ず複数の買取業者に買取査定を依頼し、買取金額を出して貰うようにしましょう。買取業者の中には残念ながら買い叩くような悪質な業者も存在しますので、必ず複数の業者に買取額を提示して貰うようにしましょう。投資マンションの買取を行っている殆どの買取業者が査定は無料で行っています。
3.投資マンションの買取での相性の良し悪しとは?

ここまでは投資マンションを買取業者に買取って貰う際のメリット、デメリットを仲介で売却した場合と比較してきましたが、ここからは相性という視点から見てみたいと思います。
(1)買取に適した福岡の投資マンションとは?
先程、福岡の投資マンションを売却するなら利回りがよく福岡市営地下鉄や西鉄天神大牟田線、JR鹿児島本線の駅から徒歩10分圏内のマンションは買い手がつきやすいと書きましたが、福岡で投資マンションの買取を行っている買取業者は買取った後、そのマンションをどうするかは主に2通りあります。投資マンションを自社で買取った後、投資家に転売することで利益を得るパターンと、投資マンションを買取った後は転売せずに収益を生む資産物件として自社で保有しておくパターンです。前者の転売する場合は、自社で買取った後、更に自社の利益分を売却価格に上乗せしたうえで目の肥えた投資家に転売するわけですから、利回り、立地、築年数など全ての項目が重要視されます。現在の福岡市及びその近郊は、経済活動が活発でマンションなどの不動産価格も高止まりしており、利回り、立地、築年数など全ての項目で優れたマンションは仲介で市場相場の価格で売却に出せば直ぐに買い手が付く傾向にあります。もし、そのようなマンションでも、一刻も早く現金が必要な状況なのでしたら、買取の方が直ぐに現金を手にすることができます。後者の収益を生む物件として買取る場合は、利回りが良ければ多少の立地の悪さなどは大目に見る事もあります。もし、立地の悪さや築年数の古さなどが原因で仲介では買い手が付かないようでしたら、買取りが向いているといえるでしょう。また、築年数は古いが福岡市及び近郊の鉄道沿線の駅から徒歩数分で3LDK以上のファミリータイプ物件ですと、賃借人が退去し空室になった後で売却した方が高値で売却できます。
(2)買取に向いてる投資マンションの売主様は?
率直に申しますと面倒臭がりのうえ、売却価格が安くても大丈夫とおっしゃる売主様だけが買取での売却に向いていらっしゃるのですが、かくの如き買取業者にとって神様のような存在の売主様はごく僅かですので、これまでの経験を思い出しながら買取業者の見地から買取に向いている売主様について話したいと思います。投資マンションを売却される売主様の中には、本音は高い価格で売却したいけれども資金繰りで即現金が必要だったり、急な海外勤務が決まったなどの理由から直ぐに資産を整理する必要があったりなど、今すぐ売却を完了させたい何かしらの理由をお持ちの方がいらっしゃいます。売却を完了しなくてはならない期日が決まっていると気持ちが焦り、誰にも相談することなく、ご自身だけで即買取での売却と決断をくだしてしまいがちです。そのような売主様は、まずは早急に信頼できる買取業者を探しだして下さい。そして買取業者が見付かったら、ご自身が置かれている状況を伝え、どのような売却方法が向いているのかご質問をされて下さい。お客様から相談を受けた買取業者は、場合によっては馴染みの司法書士や税理士に相談したうえで、売主様にとっての最適な売却方法をアドバイスしてくれます。もしかしたら、売却せずにそのまま持ち続けた方が良いとの回答が届くかもしれませんし、やはり、即買取で売却した方がよいとの回答が届くかもしれません。どのような回答が届いても、その道のプロが最適だと判断した結論ですから、少なからずその先の一歩を進む後押しになるのではないでしょうか。また、多くの個人の売主様にとって、司法書士や税理士に直接相談するということは、なんとなくハードルが高いのではないかと想像します。売主様がプロの判断を仰ぎたい時に、買取業者が普段から付き合いがある司法書士や税理士に、売主様に代わって相談してくれると安心なのではないでしょうか。この項のタイトルである「買取に向いている売主様」というより「買取を選択した方が良い売主様」ということになります。時間がかかってもいいからなるべく高く売りたい売主様は仲介一択で売却されると良いと思います。但し、居住用マンションと比較すると投資マンションを探している買い手は少ないですから、利回りが低かったり立地が悪かったり、築年数が古かったりなどのマンションでは売却完了までに数年かかる事を考慮しておく必要があります。
4.投資マンションの買取で買取業者を決めるコツ

売主様が福岡で買取業者を探そうとした時、その数の多さに驚かれるのではないでしょうか。福岡で元々開業していた買取業者に加え、先程から述べておりますように天神ビックバンや博多コネクティッドの影響で近年、福岡には他都府県から数多くの買取業者が進出してきました。また、コロナによる不景気の影響で異業種から不動産業に業種替えもしくは、新事業として不動産業を選択した企業も数多くあります。ここでは、福岡で買取業者を選ぶ時に参考になりそうなことをお伝えしたいと思います。
(1)投資マンションの買取に対応している買取業者の探し方
スマートフォンやパソコンなどで「福岡市 オーナーチェンジ買取」や「福岡 賃貸中物件買取」などのキーワードで検索すると、数多くの買取業者が検索結果に表示されます。例えば福岡市南区の買取業者を探したいのであれば「オーナーチェンジ 買取 福岡市南区」などのキーワードで検索します。大切なキーワードは「オーナーチェンジ買取」「賃貸中買取」です。何故かと申しますと、買取を行っている不動産会社にはそれぞれ得意・不得意の分野があるからです。普段から福岡で買取をメインに運営している買取業者があれば、普段は仲介業をメインに運営している買取業者、はたまた賃貸業や管理業を主に行っている買取業者もあります。そして、買取を得意としている買取業者でも、土地や戸建ての買取を得意としてる不動産会社、マンションの買取が得意の不動産会社でも居住用マンションをメインに買取っている会社と投資マンションをメインに買取っている会社、そして両方の買取に対応している会社があります。
投資用マンションを買取って貰う時の流れとして、まず、売主様は複数の買取業者にあたりをつけ、査定を依頼することから始まります。買取業者探しが最初の一歩となるわけですから、そこでつまずかないよう幸先よくスタートを切るためにも、投資マンションの買取に対応している買取業者をスムーズに検索して見つけたいものです。賃借人が居住しているマンションですから買取業者は実際に室内を見ることなく査定をしますので日本全国どこの買取業者でも査定はできます。極端な話し北海道で投資マンションの転売を専門に扱っている買取業者でも査定は可能ですし、関東の大手の買取業者が物件の状況次第で対応してくれることもありますが、メインで査定を依頼するのはやはりマンション所在地近辺、土地勘のある買取業者になります。
(2)実際に投資マンションを買取って貰う買取業者の選び方
仲介でマンションを売却する場合は、数カ月に渡って不動産会社の担当者と密に連絡を取り合う必要がありますので、担当者の人柄や対応など、いわゆるソフト面も不動産会社を選ぶ際の大切なポイントとしてあげられますが、買取の場合は早ければ1カ月で査定から引渡しまでが完結しますので、ソフト的要素より、買取価格が最重要ポイントになります。そのため、売主様は必ず数社に査定を依頼し買取価格を算出してもらう必要があります。数社を選ぶポイントですが、売却しようとしている投資マンションが所在している市区町村にある地場の買取業者、大手買取業者、投資マンションを専門に扱っている全国規模の会社の中から数社を選択すれば十分だと思います。売主様の中にはまれに10社以上の不動産会社から査定額を提示して貰うという方がいらっしゃいますが、福岡市及びその近郊の投資マンションの買取では、あまりその必要はないように思います。何故なら、多くの不動産会社には横の繋がりがありますので、売主様から買取の査定依頼を受けた時に自社で高く買取れそうにない時には、付き合いのある買取業者数社に話しを持って行き、出てきた査定価格の中から一番高い査定価格を売主様に提示します。ちなみに、弊社の方にも、マンションや土地建物の買取を行っている買取業者の営業の方がよく名刺を置いて行かれますので、自社で買取れそうにない時には、売主様の了承を得たうえで、付き合いのある買取業者数社に査定価格を提示して貰うようにしています。自社で買取れそうにない時には、売主様の了承を得たうえで付き合いのある買取業者数社に査定価格を提示して貰うようにしています。その結果、弊社以外の不動産会社での買取りが決まった場合、売主様から仲介手数料をいただくことが多いのですが、業者の買取価格から仲介手数料を差し引いた金額、つまり売主様のお手元に残る金額が、元々売主様がご希望されていた金額にかなわない場合は買取自体をお断りすることがございます。また、不動産会社は秘密厳守が大前提で査定を行っておりますので、その点もご安心ください。
5.福岡の不動産会社が買いたいと思う投資マンションはどんな物件?

投資マンションには学生や単身社会人といった主にシングルライフを送っている方達が入居している1ルームから、ファミリーが入居するような3LDKや4LDKのマンションまで様々な広さの物件があります。
買取業者の中には1ルームや1Kなどの単身用を好む不動産会社もあれば、2LDKや3LDKなどのファミリー用の物件を好む不動産会社もあります。ここでは、福岡市のどのようなエリアで単身用物件、ファミリー用物件の需要があり、また、どのような不動産会社が単身用物件、ファミリー用物件を好むのかという点から説明したいと思います。
(1)買取業者に好まれる投資物件とは
先程、買取業者が投資マンションを買取った後、投資家に転売することで利益を得るパターンと、転売せずに収益を生む資産物件として自社で保有しておく2パターンがあると書きました。まずは、投資家に転売することで利益を得るタイプの業者が好む投資マンションを見ていきたいと思います。
コロナ禍の影響で資産運用を考え始めた人が多くいると言われており、コロナ禍以降には国がNISAなどの資産運用を推奨したことがあいまって、銀行預金で資産形成をするよりも投資で資産運用をと考え始める人が増加し、近年多くの不動産投資家が生まれました。初めて投資を行う方の中には株に投資するよりも毎月の家賃収入が得られる投資マンションへの投資を好まれる方がいらっしゃいます。しかし、不動産は高額な投資になりますので、特に初心者の個人投資家はファミリータイプの物件より購入金額が安く抑えられる単身用の物件を好む傾向にあります。単身用の場合、初期投資が少なく済むうえ、万一の時のリスクも少なく済むと考えられるからです。また、多くの投資家が銀行融資を利用しますがファミリータイプの投資物件は審査が厳しい傾向にあります。このような理由から投資家に転売予定で投資マンションを買い取る業者には、単身用物件の方が好まれることが多いです。
ファミリータイプの物件は初期投資の負担が大きい分、家賃が高く、月々手元に入ってくる額も多いのですが、賃借人が退去してしまうと、毎月入ってきていた額が入らなくなるというリスクがあります。賃借人の退去後も福岡都心部ではファミリー用物件より単身用物件の方が次の賃借人が早期に見つかりやすい傾向にあります。
福岡市中央区の東側エリアや博多区の地下鉄空港線沿線には単身用物件が集中しています。同じくらいのお金を出すのなら、福岡の都心から離れた場所のファミリータイプ物件を1戸所有するよりも都心の単身用物件を2戸所有しようと考えている投資家の方が多いように感じます。福岡都心の単身用物件は空室リスクが少なく入居者が退去しても直ぐに次の入居者が付きやすい傾向にあるからです。
一方、転売せず家賃収入を生む資産物件として自社で保有しておく買取業者は、単身用やファミリー用にあまり拘りがありません。単身用でしたら地下鉄空港線沿いを好むところは同じですが、ファミリー用は都心から離れていたとしてもファミリーに人気のエリアがあります。そのようなエリアに立地した投資マンションでしたら、賃借人が退去後も直ぐに次の賃借人が見つかりますし、また、退去後は空室のまま居住用物件として売却したとしても、投資マンションとして購入した金額よりも高額で直ぐに買い手が付くことが考えられます。 次の項では福岡市営地下鉄沿線に絞って、どのような世帯が居住しているのか説明していきたいと思います。
(2)福岡市営地下鉄沿線の投資マンション、単身用とファミリー用どっちの需要が多い?
先程、福岡市中央区の東側エリアや博多区の地下鉄空港線沿線には単身用物件が集中していると申しましたが、その他の地下鉄路線沿線に建つマンションではどのような傾向にあるかを見ていきましょう。まず、福岡市で最初に開業した地下鉄空港線沿線は、福岡市に3つある地下鉄路線の中でも一番人気がある沿線です。博多区の「福岡空港駅」と西区の「姪浜駅」間を走る路線で、福岡市内を走る鉄道沿線の中では一番北部を通る路線になります。「福岡空港駅」~「姪浜駅」はファミリー世帯にも単身世帯にも人気が高いエリアと言えます。ただし、「福岡空港駅」の徒歩圏内は高さ制限の関係でマンションは殆ど建っておりません。
次に、博多区の「中洲川端駅」から東区の「貝塚駅」までを走る福岡市営地下鉄箱崎線では、博多区の「中洲川端駅」その隣の「呉服町駅」までは単身用物件が多いのですが、「呉服町駅」を超え御笠川も超えると直ぐに「千代県庁口駅」があります。駅名の通り福岡県庁の最寄り駅であり、またすぐ近くには大規模な総合病院である九州大学病院もあります。「千代県庁口」~「貝塚駅」までは単身社会人の方とファミリー層の両方が居住しているエリアになります。
最後に、地下鉄七隈線は比較的最近2005(平成17)年に開業しました。2005年に早良区の「橋本駅」~中央区の「天神南駅」までが開業、2023年に「天神南駅」~博多区の「博多駅」までが延伸開業しました。今では地下鉄が通る人気のエリアとなった早良区・城南区の中部~南部辺りですが、七隈線の開業以前は福岡市の都心、天神や博多まで出るのにかなりの時間を要することから、お世辞にも人気エリアとは言えませんでした。わざわざ引越し先にその周辺を選択する人は少なく、主に昔から住んでいる世帯や、近所に職場や学校がある方達が居住していました。その当時からの名残りで早良区の「橋本駅」~「野芥駅」周辺はファミリー層が多く居住しているエリアで、城南区の「七隈駅」~「桜坂駅」辺りまではファミリー層に加え学生や単身社会人も多く住む単身層とファミリー層が混在するエリアになり、「薬院駅」~「博多駅」は洗練されたお店や飲食店、また大企業も多く、あらゆる層に人気のエリアになります。
6.投資用のマンションを不動産業者が買取る際の流れ

不動産投資には様々なタイプの物件があります。マンションの一部屋にあたる区分所有物件、マンションやアパートなどの一棟物、戸建てや店舗物件、土地などがあります。それぞれの物件を買取業者が買い取る手順は大雑把に言えば、最初に売主様が買取業者に査定を依頼して、最後に売買代金の支払い及び物件の引渡しが行われるところは同じなのすが、細かい部分で区分所有マンションでは管理会社との打ち合わせなどといった、区分所有ならではの項目があります。ここでは区分所有の投資マンションを買取って貰う際の流れを説明いたします。
(1)投資マンションを少しでも高く買取って貰う方法、コツ
投資マンションを高く買取って貰うために売主様ができることは限られています。そして、タイミングと運も関係しますので、この項が役に立つ売主様は少ないかもしれません。申し訳ございません。
1点目、売却しようと思われた時期と賃貸借契約の更新が同時期でしたら、更新のタイミングで家賃を上げることを視野にいれましょう。但し、貸主と区分所有マンションの借主の立場・関係性を法律で見ると、賃貸借契約書の大元となる借地借家法でマンションの賃借人の方が守られる立場にあると考えられており、貸主からの、根拠の無い一方的な家賃の値上げは認められていません。しかしながら、2024年現在、福岡市の賃貸住居の家賃や、持ち家の物件価格を見てみると、数年前から軒並み値上がりしており、高止まりしています。もし、今の家賃が随分昔に設定したものでしたら、更新のタイミングで家賃の値上げ交渉を行ってみられてもよいかもしれません。直近の家賃相場の確認は、スーモなどのポータルサイトで近隣の似たような広さ、築年数の物件を検索しますと確認できますし、物件の管理を管理会社に委託されているのでしたら、管理会社に依頼されれば調査してくれるでしょう。
2点目、売却物件がワンルーム、1K、1DKといった単身用の物件ではなく、二人以上で入居できる物件の場合は、空室になってから売却に出した方が、高値で売却できる可能性が高いです。とは申しましても、買取での売却をご検討中の売主様は、売却スピードを重視されていらっしゃる方が多いかと思いますが、もし、福岡市やその近郊においてファミリータイプの投資マンションを売却しようとしているタイミングで、賃借人の退去が決まったようであれば、新たに入居者を募集するよりも、空家のまま売却に出した方が高値で売れる公算が大きいです。そして、繰り返しになりますが、買取で売却するより時間とお金が許すのであれば仲介で売却した方が高く売れる可能性があります。
(2)投資マンションの査定を依頼する際に揃えておくもの
買取業者が投資マンションの買取査定をする際に必要になる情報ですが、業者が投資マンションを購入する事で入ってくるお金、つまり毎月の家賃や敷金などの預り金、すなわち、売主様から買取業者へ引継がれるお金の正確な額。逆に、購入することで出ていくお金として固定資産税、管理費や修繕積立金など毎月の固定費の正確な額。これらが判らないと買取後の収支計算が不可能なので正確な買取額を算出することができません。家賃の額については注意が必要なことがあります。それは賃借人から毎月支払われている金額の全てがお部屋の家賃なのかということです。例えば、家賃の中に賃借人が利用している駐車場代が含まれていたら、そのお金はマンションの管理組合の方に支払うお金、つまり毎月出ていく固定費の方に含まなくてはいけない金額となり、毎月の家賃収入には含まれないお金ということになります。査定を依頼した買取業者に正確な家賃の額を伝えるために、必ず、賃貸借契約書で家賃の明細と額を確認するようにしましょう。もし、売主様がそのお部屋の2代目3代目のオーナーでいらっしゃる場合、お手元の賃貸借契約書から何か変更が起こっているかもしれませんので、管理を任せている管理会社に確認をとるようにしましょう。万一、賃貸借契約書を紛失されている場合も同様に管理会社にコピーを貰えないかの相談をしてみましょう。固定資産税の額は毎年市町村から送られてくる納税通知書で確認できます。
査定依頼時には、他にも賃借人の情報や、お部屋の修繕履歴の情報などを求められることがあります。買取業者の方では、もし単身用マンションに学生が居住している場合は、卒業と同時に退去する可能性が高いので、そのタイミングでの家賃の値上げを視野に入れられますし、お部屋の借主が法人の場合、家賃を滞納されるリスクが少なく、また、長期に借りてくれる可能性が高いので収支の目途を立てやすくなります。
(3)投資マンションを買取業者が査定する方法
買取業者が査定する方法には「収益還元法」「取引事例比較法」「原価法」の3種類があります。投資マンションの査定で使用されるのは主に「収益還元法」になります。
ちなみに「取引事例比較法」とは、売却しようとしているマンションの成約事例(過去に取り引きされた物件データのこと)や、近隣で、築年数や面積などの条件が近い売却済み物件のデータを収集し、次の4つの事項を加味したうえで査定額を算出する方法になります。
・事情補正:売主様にローンの残債が残っている場合や、急いで売却しなくてはならない場合など、売主様の事情を考慮して補正
・時点修正:過去に売却された物件の成約価格を現在の不動産相場にあうよう修正
・地域要因の比較:近隣に成約事例が少なかった場合において似たような需要供給エリアの成約事例を使用する場合に、地域要因を比較し修正。地域要因では、地域を「宅地」「農地」「林地」に分け、例えば「宅地」であれば水道やガス、道路などのインフラ設備、土砂崩れなど自然災害の危険性、日当たりや風通し眺望などの環境といった様々な要因を考慮します。
・個別的要因の比較:選択した成約事例で、例えばマンションの一室の場合は、リフォーム有無や間取り、築年数などを比較して修正
また、「原価法」とは、売却しようとしている物件を、仮に再度、造成や建築をした場合、いくらになるかの原価を割り出し、築年数により低下した価値分を差し引いたうえで、査定価格を算出する方法になりますので、マンションの一室を査定する際にこの方法が用いられることはありません。
さて、本題の投資マンションで用いられる「収益還元法」とは、そのマンションが今後どのくらいの収益をもたらすのか即ち、買おうとしている部屋がどれくらい稼いでくれるのかを計算した上で査定価格を算出する方法です。居住用物件の査定では専有面積が広かったり、築浅の高級マンションだったりすると、そこに付加価値が付き査定額も上がりますが、収益物件として考えると、専有面積が広いとその分税金が高くなりますし、築浅高級マンションは多くの人が予算さえ折り合えば手にしたいと思いますが、費やしただけの見返りがあるのか?「収益還元法」では単純に家賃収入と経費だけを見ますので、適正な物件評価額を算出できます。あたりまえのことですが、自分が住むためのマンションが自分に金銭的な利益をもたらすことはありませんので居住用マンションの売却ではこの査定方法は使われず、投資マンションの売却で使用される査定方法になります。また、これからその部屋の購入を検討する買い手さんにおいては、銀行で融資を受ける際、その部屋がどれくらい利益をもたらすのかは非常に重要なポイントになりますので、収益還元法で算出された数字は買い手にとっても有用なものになります。収益還元法には「直接還元法」と「DCF法」の2つの方法があります。
・直接還元法:物件の査定額を「純利益÷還元利回り×100」で計算する方法です。
純利益の計算方法は「年間家賃収入―年間経費」になります。年間経費とは管理費や修繕積立金、火災保険料や税金、融資返済額、入居者募集の広告費など、その部屋のために使用した年間のお金になります。還元利回りとは物件の収益性を表した数字のことで「純利益÷物件価格」で算出できますが、これだと、いつまでたっても純利益と還元利回りが堂々巡りしてしまい、行ったり来たりの無限ループに陥ってしまいますので、還元利回りは近隣の類似物件の直近から数年前までの成約事例を参考にした利回りを設定することが一般的です。また、現在売却に出されている類似物件の利回りを参考にすることもあります。
ここまでのおさらいです。
直接還元法で算出する物件査定額=純利益÷還元利回り×100
※純利益の計算方法:年間家賃収入―年間経費
※還元利回りの算出方法:過去の成約事例などから算出することが一般的
(例)福岡市中央区の家賃6万円のワンルームマンションがあるとします。年間家賃収入は6万円×12カ月で72万円、年間にかかる経費は20万円、還元利回りは6.5と設定した場合の計算です。
純利益:72万円―20万円=52万円
直接還元法でのこの物件の査定額は52万円÷6.5×100=800万円ということになります。
収益還元法のもう一つの手法の「DCF法」を説明します。
DCFはディスカウントキャッシュフロー(Discounted Cash Flow)の略になります。「入ってくるお金」「出ていくお金」の流れや割引率を加味した査定方法です。直接還元法と比較するとより厳密に査定額が割り出されますが、その分、計算内容は複雑で特殊性も高くなっています。
まず計算式だけを書くとこうなります。
1.年間の純利益に割引率を加味して、将来の純利益を現在の価値に置き換えるといくらになるのかを年単位で計算する
計算式:(キャッシュフロー÷(1+(割引率))^(購入経過年数)
2. 物件保有後の売却額を現在の価値に置き換えるといくらになるのかを計算する
計算式:〇年後の売却額÷(1+(割引率)^(〇年)
3. 1と2を合計し、物件の評価額を出す
※キャッシュフローの計算方法:年間家賃収入-年間経費
※割引率とは将来の物価の下落状況や空室などのリスクを考慮し算出した数字になりますが、将来のリスクを正確に割り出すことは不可能なので、おおよその数字として3%から7%の数字を取る事が一般的です。
※「^」は「べき乗(繰返し掛ける)」を意味します。数学で習った2乗、3乗・・・のことです。
先程、直接還元法の具体例で計算しました福岡市中央区の家賃6万円のワンルームマンションをDCF法の計算式にあてはめてみます。
年間家賃収入は72万円、年間にかかる経費は20万円、保有期間5年間、割引率4%、5年後の売却額は800万円と設定した場合の計算です。
1.年間純利益を現在価値に置き換える計算
1年目:52万円÷(1+4%)=50.00万円
2年目:52万円÷(1+4%)^2=48.08万円
3年目:52万円÷(1+4%)^3=46.23万円
4年目:52万円÷(1+4%)^4=44.45万円
5年目:52万円÷(1+4%)^5=42.74万円
保有予定の5年間の純利益の総額
50.00万円+48.08万円+46.23万円+44.45万円+42.74万円=231.50万円
2.5年後の売却額を現在の価値に置き換える計算
8,000,000÷(1+4%)^5=657.54万円
3.1と2を足して現在の価値を出す
231.50万円+821.93万円=889.04万円
ここまで収益還元法の直接還元法とDCF法についてお話ししました。
・直接還元法:長期に物件を保有した場合の評価額
・DFC法:投資期間を数年と決めて保有した場合の評価額
になりますが、買取業者が個人のお客様から区分所有(マンションの1室のこと)のオーナーチェンジの買取査定を依頼された際にDFC法を用いることは殆ど無く、直接還元法を用いて査定額を出します。余談ですが買取査定ではなく仲介で売却する際の査定において買取業者がDFC法を用いる場合、割引率を買取業者が都合の良いように設定することも考えられますので、その点には注意が必要になります。
とは言っても、この記事は買取業者に投資マンションを買取って貰う際の話しになりますので、売主様の方で買取業者の査定方法などを気にする必要は無く、シンプルに、一番高く買取ってくれて、売主様の手元に一番沢山お金が入ってくる買取業者を選択すればよろしいかと思います。
7.投資用マンション、売買契約の流れ

買取業者からの買取査定額が出揃ったら、すぐにどの業者に買取って貰うかを決定しましょう。殆どの売主様が一番高い金額で買取ってくれる業者を選択されると思いますが、業者の急な資金繰りの関係等で買取れなくなることも考えられますので、査定額を出して貰ってから売買契約締結までは、とにかくスピード重視で行うようにしましょう。売買契約を締結してしまえば次の項で述べますが、業者の都合で契約解除になったとしても売主様の方に手付金が入りますので、急な契約解除でも痛手が少なく済みます。 まずは査定後、売買契約までの第一段階として買取業者が決定したらすぐに業者から購入申込書を提出して貰いましょう。
(1)買取業者から投資マンションの購入申込書が届く
購入申込書は「買付証明書」や「買付申込書」とも言いますが、どれも内容は同じで、買取に際しての取引条件が記載されています。購入申込書に法的な効力はありませんが、売買金額や手付金の額、引渡しの希望日や取引の条件など、売主様にとって重要な情報が記載されています。
(2)投資マンションの購入申込書に記載されている取引条件を確認する
買取業者である不動産会社に買取って貰う際に、当事者である不動産会社が発行する購入申込書ですので、記載されている内容は事前に不動産会社の担当者から売主様へ説明されています。書面をよく確認し、事前に受けた説明内容と食い違っている部分や、何か不明な点があれば担当者に確認をとるようにしましょう。
後からトラブルになりやすい点を記載しますので、お手元に届いた購入申込書をよくご確認ください。
・手付金の額:投資マンションに限らず、通常、中古マンションの売買では売買金額の5%~10%の額の手付金が売買契約時に買主様から売主様へ支払われます。これは、買主様の都合で契約出来なくなった場合、全額が売主様の手元に入るお金であり、逆に、売主様の都合で契約が出来なくなった場合は売主様から買主様へ手付金の2倍の額を支払って契約を解除するという意味合いのお金になります。
例えば手付金が100万円の場合
・買主都合で契約解除:買主は手付100万円を放棄します。売主は手付の100万円を買主に返却不要です。
・売主都合で契約解除:買主に手付100万円が返却されます。売主は契約解除料として手付と同額の100万円を買主に支払います。
・ローン特約:買取業者が個人のお客様から買取る際、このローン特約はめったに付けないのですが、付けられないわけではありません。この特約ですが『買取業者がマンションを買取るにあたり、融資がおりなければ売買契約を白紙撤回できる』という内容になり、売主様にとって不利な内容の特約になります。例えば、買取業者から売主様へ手付金100万円が支払われていたが、融資がおりなかったとします。その場合、この特約が付いてなければ、100万円は売主様へ全額支払われるお金になります。しかし、この特約が付いている場合、売買契約は白紙になりますので、100万円は買取業者へ全額返却しなくてはなりません。特約が付いているばかりに、100万円を返却しなくてはならず、更に融資の承認が下りるまで売買がストップした状態となり、売主様にとっては不利な特約になりますので、この特約の有無を確認しましょう。
・契約不適合責任:2020年4月から法改正により「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものが「契約不適合責任」になり、法律の内容も改訂されました。契約不適合責任では、売買契約を締結する際に売主様から買主様へ伝えられていなかった物件の不具合は、物件の引渡し後一定期間は売主様が責任を負うという買主様側に有利な内容になります。ここでの不具合の対象箇所は室内の欠陥に加えマンション内で起こった事件事故、近隣での騒音トラブルなどの環境、マンションの容積率や建ぺい率に違反は無いかなど広範囲に渡ります。買取業者が買取る場合、これらの契約不適合責任は免除されることが多いので、買取条件に『売主様の契約不適合責任免除』の項目が記載れているか確認しましょう。なお、投資マンションの場合、室内の不具合や近隣の環境などについては売主様が把握されていない事の方が多いので、買い手が業者では無く個人の買主様であっても了承を得たうえで、特約により売主様の契約不適合責任を免責とする場合も多いです。
・引渡し時期:買い手が個人の場合、引渡し時期は売主様・買主様双方のスケジュールを見ながら折り合いをつけていただきますが、買い手が買取業者の場合は売主様の都合を優先させていただくことが多いです。投資マンションは売主様が遠方に住まわれていることも多く、また、売主様が多忙で必要書類の入手に時間がかかることも珍しくありません。売主様の都合に合わせて引渡し時期を遅らせることができるのは買取業者に買取って貰った際のメリットの一つと言えます。
(3)投資マンション売買契約、決済に向けて必要書類や印鑑を準備する
買取業者が提示した条件に納得がいけば売買契約締結の準備に入ります。この後の流れとしては、売主様と買取業者で売買契約書を締結し売主様へ手付金が支払われます。一定期間を経て、買取業者から売主様へ残代金の支払い、最終的に決済手続き及び投資マンションの引渡しへと進んでいきます。
投資マンションを買取業者に買取って貰う場合に必要になるものは以下になります。
※印は、売却物件が共有名義の場合は名義人全員分が必要になります。
身分証明書※
登記済権利証または登記識別情報
実印と印鑑証明書※
固定資産税納税通知書
賃貸借契約書
付帯設備表
物件状況確認書(告知書)
レントロール
メンテナンスやリフォームを行っている場合はその履歴が判る書類
通帳(売買代金を入金する口座情報)※
・身分証明書(本人確認書類)
マネーロンダリング防止対策のため犯罪収益移転防止法では宅地建物の不動産売買契約を特定取引に指定し、不動産売買契約を締結する際には本人確認が義務付けられています。本人を確認するための書類は運転免許証やパスポート、健康保険証などがありますが、買取業者との取引を対面で行うのか非対面で行うのか、また、対面取引の場合は本人確認書類を提示するだけなのか、もしくは、本人確認書類の写しを買取業者に提出し、買取業者が取引文書を売主様の住所へ書留などを利用し転送不要郵便で送付することで本人確認をするのか、など、それぞれの状況で必要になる書類が違ってきますので、必要な本人確認書類が何か買取業者の担当者に確認するようにしましょう。特に、投資物件では売主様が遠方に住まわれていて、最初の査定から最後の引渡しまで、売主様と買取業者が会わないまま取引が終了することも考えられますので、必要な書類などで不明な点は、その都度、担当者に確認するようにしましょう。
・登記済権利証(2005年3月7日以前に購入した不動産)または登記識別情報(2005年3月8日以降に購入した不動産)
投資マンションに限らず不動産の売買において「登記済権利証」または「登記識別情報」は非常に重要になります。その不動産の真の所有者であることを証明できるものが「登記済権利証」または「登記識別情報」になり、いずれも、不動産を購入や相続で所有した際に登記をした法務局から発行されています。2005年3月7日までは「登記済権利証」という書面で発行されており、それ以降は「登記識別情報」という12桁の符号が目隠しシールを貼った状態で交付されています。万一、「登記済権利証」または「登記識別情報」を紛失している場合、所有権の移転登記ができず買取業者に投資マンションを買取って貰うことができなくなる場合があります。すなわち「登記済権利証」または「登記識別情報」が無ければ、マンションの売却ができない可能性がでてきます。従いまして、売却する事が決まったら、できるだけ早いタイミングで「登記済権利証」または「登記識別情報」に間違いがないか、不動産会社の担当者や司法書士に確認して貰うようにして下さい。「登記済権利証」または「登記識別情報」を紛失した場合は再発行ができないため、他の方法で不動産の真の所有者であることを証明することになります。この手続きにはいくつかの方法がありますが、よく取られる方法は、まず、司法書士や弁護士に「本人確認情報」を作成してもらい、それを法務局で認めてもらい手続きを進めます。手続きには時間と費用がかかりますので、無駄な時間とお金をかけなくて済むように、繰り返しになりますが売却する事が決まった時点で「登記済権利証」または「登記識別情報」を準備するようにしましょう。
・印鑑登録証明書
不動産会社や司法書士の先生から「実印」「印鑑証明書」の準備を求められますが、不動産売買契約書に必ず実印を押さなくてはならないという法律はなく認印でも構わないのです。それゆえ、売買契約書に印鑑証明書を貼付する義務もありません。売買契約が成立し、多くの場合は1~3ヵ月後に残代金の支払いと投資マンションの所有権移転(引渡し)の手続きがとられ、法務局にある登記簿の名義人が売主様名義から買主様名義に変更されます。まさにこの際、法務局が、売主様ご本人が所有権の移転を承諾しているかどうかを確認するために「実印」と「印鑑証明書」が必要になります。ちなみに、法改正で2024年4月1日より相続により不動産を取得した場合、登記名義人を変更することが義務化されました。相続以外での中古マンション売買においては登記名義人の変更を必ずしなくてはいけないという法律はありませんが、不動産の所有権を主張できる唯一の方法が登記になりますので「面倒くさいから所有権移転をしなくていいよ」などと言う買主様はいないでしょう。話しがそれましたが、買取業者から売主様へ売買代金の全額が支払われた後、法務局で所有権移転の登記を行います。申請人は当事者である売主様ご本人であり、本人証明のために印鑑証明書を提出します。実際は多くの場合、手続きを行うのは司法書士の先生ですので、代理人である司法書士の先生に実印を押印した委任状と印鑑証明書を渡し、法務局で手続きを行って貰います。もし、売却する投資マンションが何人かの共有名義になっている場合は、共有している名義人全員の実印と印鑑証明書が必要になります。印鑑証明書の有効期限は取得した日から3か月ですので、おおよその売買契約の日が決まってから取得するのが一般的です。ただし、共有名義の場合は、全員分の印鑑証明が揃うまで手続きができませんので、売却が決まった時点で、所有権移転の手続きの際に実印の押印が必要になるので、実印を持ってない場合は役所で実印登録の手続きを行うこと、印鑑証明書が必要になること、印鑑証明書の有効期限は取得日から3カ月なので早めに取得しすぎないことを名義人全員に知らせる必要があります。
・固定資産税納税通知書
固定資産税納税通知書及び固定資産課税明細書は以下の3点で必要になります。
・納付状況を確認するため
・所有権移転登記の費用を見積もるため
・売主様と買主様間での固定資産税精算額を算出するため(不動産の取引では売主様と買主様で固定資産税の精算を行うことが一般的です)
固定資産税納税通知書は毎年1月1日時点の不動産所有者に対し、不動産が所在している市町村から通知されます。通知される時期は市町村によって違いますが、福岡市では毎年4月上旬に発送されています。売主様の方で、送付されてきた固定資産税通知書に基づいて支払うのですが、例えば、7月1日に売買代金全額の支払い及び不動産の引渡しが完了した場合は、1月1日を起算日とすると固定資産税は1月1日から6月30日までを売主様が負担し、7月1日から12月31日までを買主様が負担することになります。4月1日を起算日とした場合は4月1日から6月30日までを売主様が負担し、7月1日から12月31日までを買主様が負担することになります。一般的に買主様の負担分は、決済日に売買代金の支払いとあわせて売主様の方へ支払われることになります。 もし、売主様が固定資産税納税通知書を紛失している場合は再発行ができないため、代わりに固定資産公課証明書を市町村役場で取得していただきます。固定資産公課証明書には固定資産評価証明書の記載内容に加えて課税標準額と税相当額が記載されています。固定資産公課証明書は不動産が所在している市区町村役場にて、数百円程度の費用を支払うことで発行して貰えます。もし、売主様が多忙や遠方にお住まいなどの理由から役所に行き固定資産公課証明書を取得することが難しい場合は郵送での申請や、不動産会社に委任状を渡すことで委任を受けた者が窓口に出向き取得することも可能です。
・賃貸借契約書
投資マンションの売却ですので、売主様が保有している家賃収入等を得る権利は勿論、売主様が賃借人様に負っている義務もそのままの状態で買取業者へ引き継ぎます。そのため、買取業者では家賃や敷金、更新料、契約期間、特約、入居者などの正確な情報を把握する必要があります。賃借人様が入居時に交わした賃貸借契約書から家賃等の金額に変更が生じている場合は、家賃変更合意書や更新契約書など最新の金額を証明するための書類も必要になります。もし、書類を紛失していたり、オーナーが何度か変わったりした為、最新の書類が手元に無い場合は、売主様から賃貸管理会社に連絡していただき、コピーを入手して貰うことになります。万一、賃貸管理会社が非協力的な場合ですが、これは自社で不動産売買も行っている賃貸管理会社に見られますが、売主様が自分のところに売却を依頼せず、別の不動産会社で決まったことへの嫌がらせで、賃貸借契約書のコピーを依頼しても非協力的なことが稀にあります。家賃が振り込まれている通帳で賃借人からの入金総額は判るのですが、入金されている金額の明細までの証明ができません。例えば賃借人から毎月10万円が振り込まれていたとして、管理会社から手数料を引かれることが一般的ですし、10万円全額が家賃なのか、8万円が家賃で2万円が駐車場代だった場合、2万円は管理組合に支払うべきお金なので、買取業者の毎月の家賃収入には含まれないお金になります。買取業者は毎月の正確な収入・支出が判らない限り売買契約は締結できませんので、必ず最新の賃貸借契約の内容を把握する必要があります。
管理会社があまりに非協力的な場合は、管理会社の変更も視野に入れたいところですが、たかだか賃貸借契約書のコピーすら非協力的な管理会社ですから、管理会社の変更となれば、あの手この手を使って嫌がらせをしてきます。このような事態に陥らないためには、投資マンションを購入した際には、管理会社を見極めたうえで管理委託契約をすることが非常に重要になってきます。
・付帯設備表
お部屋の設備に関する書類になります。お部屋にエアコンが付いているのかといった設備の有無、お部屋の設備で壊れている部分やこれまでの修繕履歴など、お部屋の設備に関して売主様が把握されていることは、全てこの書類に書き出します。投資マンションですので、売主様の方で現在の設備状況を把握することが難しい場合でも、判らないことは判らないと、記載する必要があります。買取業者の担当者と一緒に一項目ずつ確認しながら書き出すようにしましょう。なお、賃借人が入居中の場合はお部屋を内覧することができませんので付帯設備表は免除する買取業者は多いです。 ・物件状況確認書(告知書) 先程の付帯設備表はお部屋の中の設備に関する書類になりますが、こちらの物件状況確認書は、お部屋に加えマンションそのものの状況を記載します。具体的には、室内の雨漏りや水漏れなどの欠陥箇所(過去、雨漏りをしていて今現在は修繕済みでも、その修繕履歴を記載する必要があります)、隣家や上階等からの騒音、マンション自体のことでは、管理費や修繕積立金の値上げ予定や、大規模修繕工事の予定、また、マンション内で起こった事件や事故などを記載します。加えて、マンションが立地している周辺の環境も記載する必要があります。例えば騒音や異臭についてのことや、近隣に暴力団事務所が無いかなど、室内のこと、マンション自体のこと、周辺環境のことについて、売主様が把握されていることを記載します。賃借人が居住している投資物件では、室内の設備や故障の状態、また、マンションや周辺環境の状況は売主様の方では把握できませんが、知らないことは「知らない」と記載する必要があります。
・レントロール
レントロールとは部屋の号数や広さ、間取りといったお部屋自体の情報や賃借人の情報、毎月の支払状況や敷金や保証金などお金に関する情報などが記載されている書類のことです。マンションの一室を買取業者に売却する際、提出を求められることはほぼ無いと思いますが、稀に、提出を求められたこともあると聞きます。売主様にレントロールの作成義務はありませんので、お手元に無い時は、買取業者の方に「無い」とお伝えすればよいでしょう。もし、売却される物件が一棟物の投資マンションやアパート、また、複数のお部屋だった場合は買取業者にレントロールの提出を求められます。買取業者の方ではレントロールを見て、これまでの入居率、また今現在の入居率や家賃が下落していないか、借主の属性やフリーレントを利用して強引に入居率を高めていないかなどを確認します。賃貸管理を管理会社に委託している場合は、委託先の管理会社に依頼すれば提出してくれるでしょう。
(4)投資マンションの売買契約を締結し手付金を受け取る
売買契約を締結する日時や場所ですが、買取業者が買取る場合は売主様の都合を優先します。投資マンションの売却では、売主様が遠方に住まれていることも多いので、全ての手続きを郵送や電話で完結させることもよくあります。売買契約の場ではまず買取業者の担当者より取引内容についての説明を受けます。その際、売主様が特に注意して確認しなくてはならない事項を記載します。
・売買金額総額(買取って貰う金額のこと)に相違がないかの確認
・手付解除の期限:その期限までは、売主様が物件を売却すること、買主である買取業者が物件を購入することを手付金放棄または手付金の倍返しで解除できる期限です。
・手付金の額:上記の手付解除により買取業者から売買契約が解除された場合、すでに受け取っている手付金の全額を買主様が放棄します。一方、売主様から売買契約を解除した場合は手付金の2倍の額を買取業者に支払います。例えば手付金が100万円だったとします。買取業者からの解約の場合、売主様はすでに受け取っている100万円を返却する必要はありません。一方、売主様からの解約の場合、買取業者は200万円(内100万円は事前に支払われている手付金)を受取ります。なお、手付解除は無理由で契約が解除できますが、それ以外で例えば自然災害など、売主・買主どちらの責任でもない理由で物件の引渡しができなくなった場合は売買契約書「引き渡し完了前の滅失・損傷」の条項、また、契約違反により売買契約が解除になる場合は契約違反による解除の項目にそれぞれ諸条件が定められています。
・所有権移転・引渡し・登記手続きの日:売主様が買取業者に物件を引渡し、残代金を受取る日にちです。
・特約条項:少し話しがそれますが、不動産会社(宅地建物取引業を営んでいいよという免許を交付された宅建業者)になるためには国(法務局)に1000万円のお金を預けなければなりません。不動産売買という高額な取り引きを行うためには資金力が無いと顧客は心配になりますし、また、万一、不動産会社がお客様など相手方に被害・損害を与えてしまった場合や倒産してしまった場合、資金が無いと損害賠償を行うことも出来ないからです。しかし、1000万円という金額は、弊社のような街の小さな不動産会社にとっては大金です。そこで、殆どの宅建業者は「公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(通称:全宅連)」もしくは「公益社団法人全日本不動産協会(通称:全日)」のいずれかの団体に加入しています。堅苦しい名前ですが、街の不動産屋さんの店頭に掲示している会員証やシールで鳩のマークが全宅加盟店で、ウサギのマークが全日加盟店になります。この全宅か全日に加盟した業者がそれぞれの団体の保証協会に60万円の弁済業務保証金分担金を納付すると、その協会から国が定める供託所に弁済業務保証金が供託されます。これが1000万円の営業保証金を納める代わりとなります。万一、宅地建物の取引きで損害を被った際はこの営業保証金や弁済業務保証金分担金から弁済を受けられることになっています。不動産会社が加盟する協会は、その他に「一般社団法人不動産流通経営協会(通称:FRK)」と「一般社団法人全国住宅産業協会(通称:全住協)」があります。FRKは主に三井系や住友系など大手の不動産会社が加盟しており、全住協は主に建設会社が加盟している団体になります。FRKと全住協の両方に加盟している不動産会社もあります。 「全宅連」「全日」「FRK」では、それぞれの団体が作成している標準契約書、重要事項説明書などの契約書式をダウンロードして利用することができます。さて、余談が長くなりましたが、本題の特約条項ですが、買取業者が加入している団体の不動産売買標準契約書に記載のない、売主様と買取業者の双方で取り決めた内容が記載されています。投資物件の売買契約書で特約条項の内容例をあげますと『買主は賃貸借契約書の内容を引継ぐ』『敷金等、賃借人からの預り金は買主に移行する』『引渡しまでに賃借人が退去した時は空家のまま引渡す』などがあります。また、投資物件に限らず、個人所有のマンションを買取業者が買取る際の特約条項の内容例としては『売主は契約不適合責任を負わない』『ローン特約の条項は削除される』などがあります。 売買契約書の内容を確認し納得出来たら、まず、売主様と買取業者でそれぞれ売買契約書に記名押印を行い、買取業者から売主様へ手付金が支払われ、売主様は買取業者へ領収書(手付金受領書)を渡します。領収書の様式は買取業者の方が準備します。 もし、全て郵送で済ませる場合は、まず買取業者の方で記名押印した売買契約書を売主様に郵送し、手付金を振り込みます。売主様の方では、送られてきた売買契約書の内容と振り込まれた手付金の額を確認し間違いが無ければ、売買契約書と領収書(手付金受領書)に記名押印し、買取業者へ返送します。なお、売買契約書は同じ物が2通作成され売主様と買取業者がそれぞれ1通ずつ保管します。
(5)投資マンションの融資を受けている場合は融資元に連絡を入れる
融資を受けていない売主様は読み飛ばして下さい。不動産投資ローンを利用中の売主様は融資元の金融機関に物件の決済日(売却予定日)を伝え、決済日に売買代金で一括完済を行うので、一括完済の手続きと、抵当権を抹消する登記のために必要になる書類の準備を依頼します。
8.投資マンションの決済と引き渡しについて

売買契約締結後に買取業者の資金繰りさえ整えばすぐに決済を行います。決済の日時も買取での売却の場合は売主様のご都合を優先することが一般的です。
(1)投資マンションの残代金を受取り、物件を引渡す
買取業者から売主様へ残代金の決済、売主様から買取業者へ物件の引渡しが行われます。この決済と引渡しは、おおよそ売買契約の締結日より3週間~2カ月後、同じ日に行われます。早ければ、売買契約から数日で決済が行われることもあります。居住用のマンションでは売主様、買取業者、司法書士が一堂に会し行われますが、投資マンションでは、売主様が遠方に居住されていたり、また、副業で投資をされている方も多く、本業の方が忙しかったりされるので、事前に売主様は司法書士による本人確認を受け、所有権移転のために必要になる書類を司法書士に預け、当日の決済の場には立ち会わず職場やご自宅などで入金を待つだけというパターンも多くあります。ちなみに決済場所は、買取業者が融資を受ける銀行の応接室を利用することが一般的です。
買取業者より売却価格の全額が売主様の口座へ入金され、売主様から買取業者へ物件を引渡し(敷金等などがある場合はそちらも買取業者へ引き継ぎます)、そして所有権移転の登記手続きが行われ投資マンションの売却が無事完了となります。
(2)投資マンションを買取って貰った時にかかる諸費用は?
度々申し上げております通り、この記事は個人の売主様が投資マンションを業者の買取で売却した場合について説明しています。売主様が業者や個人事業主の場合や仲介で売却した場合、内容が異なる箇所がございますのでご注意ください。
不動産会社の買取りですので、売主様の仲介手数料は不要になります。しかし、仲介手数料以外の費用は、販売形態が仲介・買取に関係なく必要になります。ここでは主に必要になる費用について説明します。
・収入印紙代
収入印紙は国に税金や手数料を支払うため契約書類や領収証などといった様々な書類に貼付されます。印紙税法という法律のなかで、収入印紙の添付義務がある書類が詳しく明示されており、その書類の第一番目に記載されているのが不動産売買契約書です。収入印紙を売買契約書に貼付することで売主様は税金をきちんと国に納めたことになります。なお、添付する収入印紙の額は売買価格によって変わります。
参考:e-Gov(イーガブ)法令検索 印紙税法
・登録免許税(抵当権設定登記がなされている場合の抵当権抹消登記)
投資マンションに設定されている抵当権を抹消するために必要な国に支払う税金のことです。
税額は1つの不動産に対し1000円がかかります。投資マンションの売却では建物の持分1戸につき1000円、土地の持分1筆につき1000円がかかります。例えば土地が数筆にまたがっている場合は1000円×筆数分が必要になります。
抵当権の抹消手続きは個人でも行えますが、司法書士の先生に報酬をお支払いし、代理で手続きを依頼することが一般的です。報酬額は司法書士の先生により異なりますが、弊社がいつもお願いしている先生ですと1万円~2万5千円程度になります。抵当権の抹消は決済の日に行われますので登録免許税も決済日に必要になります。
・譲渡所得税
譲渡所得税とは不動産の売却で利益(売却益)が生じたときに発生する所得税のことです。利益がでたかどうかは『売却額 − (不動産の取得費 + 譲渡費用)』の計算式にあてはめます。
・不動産の取得費:投資マンションの購入価額+諸経費(登記費用、仲介手数料など)
・譲渡費用:売買契約書に添付する収入印紙代
売主様が抵当権抹消のために支払った登記費用やローン繰上げ返済手数料は譲渡費用にあてはまりません。
売主様が会社で年末調整を行っている会社員の方でも、投資マンションの売却で出た利益は給与所得以外の所得になりますので、マンションを売却した翌年には確定申告を行わなければなりません。確定申告を忘れている場合や故意にしなかった場合は税務署から問い合わせや調査が入り、場合によっては延滞税や無申告税、重加算税が課せられることがありますので注意しましょう。 なお、譲渡所得がマイナスとなる場合には税金も生じません。
この他にも登記簿記載の住所や氏名と住民票記載の住所や氏名が異なる場合は住所や氏名の名義変更登記のために費用がかかります。
(3)投資マンションの地位承継通知を行う
投資マンションの売却で賃借人(借主)の許可は不要ですが、所有権移転完了後、速やかに、賃借人に対し旧オーナー(売主様)と新オーナー(買取業者)が連名で、オーナーが変更したことを書面で通知します。書面の内容は家賃の新しい振込先や管理会社のことなど賃借人にとって重要な情報を記載します。また、賃貸借契約はそのまま引き継がれるため契約内容は変更できませんが、確認のため家賃の明細や金額も記載し契約条件を再確認します。特に敷金や預り金がある場合、新オーナーに引き継がれたことを記載し、賃借人に不安や不信感を与えないようにします。
書面に記載する主な内容は・投資が行われたことの報告・所有権が移転した日付・敷金返還義務が新オーナーに引き継がれること・賃貸契約条件の再確認・新しい賃料振込先(いつから新しい振込先に入金するのか)・新しい管理会社の連絡先などになります。この書面は新しい管理会社の方で作成、発送を行うことが一般的です。余談ですが振り込め詐欺のなかで、家賃振込口座変更詐欺という詐欺があります。これは借主宛に、管理会社やオーナーが変わったので家賃を次回から新しい口座に振り込むよう通知書を送り付ける詐欺で、実際に被害にあわれた方もいらっしゃいます。弊社では賃借人が不安にならないように、投資マンションの地位継承通知は新旧オーナーの連名、そして新旧管理会社も連名で発送するようにしています。そうしておけば万一、不安になられた賃借人様が旧管理会社に連絡することができるからです。
9.投資用のマンションを業者に買取って貰う際の注意点

(1)投資マンションの売却、仲介で買取業者を紹介されると手数料が発生する
売主様が仲介での売却を選択した場合、最終的な買い手が買取業者であっても、売主様と買取業者の間には仲介会社が入っていますので、売主様は媒介した会社に仲介手数料を支払います。
売主様が買取での売却を選択し、買取を依頼した業者Aが自社の買取基準にあわず買取れなかった場合、A社は売主様に「自社での買い取りは厳しいので、買取業者であるB社を紹介します。」と言って、最終的にB社が購入する場合があります。売主様とB社の間にA社が入っていますので、売主様はA社に仲介手数料を支払う必要があります。ただしB社の購入価格が、売主様が希望されていた額にプラスしてA社に支払う仲介手数料分が加算されていれば、最終的に売主様が当初想定していた金額が手元に残ることになりますので、このケースはご満足いただけるお取り引きなのではないでしょうか。
ところが、悪質な不動産会社C社に当たってしまった場合「弊社での買取査定額は低いのですが、知り合いのD社を紹介します。」と、わざとに低い買取査定額を提示することがあります。売主様は物件の買取額は低いと思い込まされ、結局、ご希望の買取額に届かなくてもD社に売却してしまうケースがあります。
この悪質業者C社は、まず、売主様とD社から仲介手数料を貰い、次に、D社がその物件を売却に出す時に専任媒介契約を貰い、今度はD社と買主の両方から仲介手数料を貰うところまでを企んでいます。つまり売主様が物件を売却する時には売主様とD社から、次にその物件が売りに出された際にはD社と買主様から、両手×2回の仲介手数料を貰うところまでをシミュレーションしたうえで、最初にC社がわざと低い買取査定額を出しD社の買取額を高値に見せることがあります。信頼できる不動産会社がある場合は大丈夫ですが、悪質な手口にひっかからないために買取査定は数社に依頼するようにしましょう。
(2)買取査定前に投資マンションの管理委託契約を確認しておく
殆どの売主様が、家賃回収や賃借の事務手続き、入居者募集などといった、賃貸借に関しての業務は賃貸管理会社に委託していらっしゃると思います。賃貸管理会社に業務を委託する際は「管理委託契約」を締結されるわけですが、契約を解約する際には何カ月前までに管理会社に連絡しなくてはいけないのかを契約書面の「契約の有効期限」や「契約の解除」など解約条件について記載されている条項で確認しておく必要があります。解約の1カ月前までに通告、半年前までに通告など管理会社によって期限はまちまちで、通告期限以外で解約するには違約金が必要になる場合もあります。いざ業者の買取が決まったが管理契約の解約に違約金が発生したなどといったことにならないように準備しておきましょう。また、管理会社との契約を解約すると、そのまま家賃保証会社との契約も解約になる場合があります。買取業者によっては自社の買取基準に家賃保証会社への加入を必須にしている不動産会社もあります。管理契約を解約した場合に保証会社はどうなるのか事前に管理会社に確認しておきましょう。もし、管理会社が非協力的な場合は買取業者の方に相談してみましょう。
(3)投資マンション、高すぎる買取査定額には注意が必要?
仲介では高い査定額を提示し専任契約を締結させ、案の定、高い価格では売却できず、売却までに時間がかかったうえ、最終的に査定額から数百万円の値下げを強いられたというケースをよく聞きます。
では、業者の買取で高すぎる査定額は売主様にとって有難いだけなのでしょうか?業者が売主様に高額な買取査定額を提示し売買契約を締結した後、何かしら難癖をつけて違約金を要求してくるような悪質な業者があります。他にも悪質な業者ではこのようなパターンがあります。売買契約締結後、引渡し前に賃借人が退去した場合、売買契約書に売主の原状回復義務を謳っていれば、売主様の方でクロスの貼替やハウスクリーニングを行わなければなりません。万一、悪質な買取業者にあたってしまった場合、原状回復以外で、壊れていない設備を最新の設備に交換するなど思わぬ費用を要求してくる事があります。
高い買取査定額を提示され売買契約を締結する時には嬉しい気持ちが勝り、相手が悪質な業者だとは見抜けない可能性があります。 いざその場で悪質な業者だと気付き売買契約を解除しようとすると、今度は売主都合での解約だからといって手付解除(売主様が手付の倍額を償還して契約の解除をすること)を要求してくるかもしれません。
信頼できる不動産会社がある場合は問題ありませんが、悪質な業者に騙されないためには必ず数社に買取査定を依頼することが大切です。その中で他社よりも高額な買取額を提示してきた会社と売買契約を締結する際は、売買契約書の内容をよく読み理解すること、インターネットで検索をし、その会社への口コミなどを確認しておくことが非常に重要です。
10.投資マンションの買取を断られることもある

ここまでの記事の中で何度か買取業者は自社で独自に買取基準を設定していると書いてきました。つまり自社の条件にあわない物件は買取を断るということです。
(1)投資マンションの買取条件とは
それでは業者の買取基準にはどのようなものがあるのでしょうか?
投資マンションではまず利回りを見ますが、その他にも主な条件では「築年数」「立地」「広さ」などがあります。築年数は投資用のマンションに限らず建物を買い取る条件として旧耐震基準の時代に建てられた建物は敬遠されがちです。なかには旧耐震でも積極的に買取りますと掲げている業者もありますが、繰り返しになりますが、買い叩かれないために買取査定は必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。また、築年数の条件を単身用投資専門の買取業者で、福岡都心の築20年以内としている業者もあると聞きます。
次に立地条件では、特定路線の駅から徒歩何分以内であったり、特定の市区に絞っていたりします。福岡の買取業者では買取エリアを福岡市内限定に絞っていたり、もっと厳しい条件ですと中央区博多区に限定にしていたりする業者もあります。立地が悪ければ賃借人退去後の空室リスクが高くなりますので投資家へ転売の目的で買取る業者の条件はシビアです。広さの条件はあまり気にされなくて良いかと思います。なぜなら単身用を扱っている不動産会社もあればファミリータイプを扱っている不動産会社もあるからです。ちなみに弊社は単身用からファミリータイプまで取り扱っております。
(2)投資マンションは表面利回りがよくても買取を断られることがある
業者が投資マンションの買い取りを検討する際にはまず利回りを見ます。投資物件を掲載しているポータルサイト等で見られるように、一般の方が目にする利回りは表面利回りですが、買取業者は実質利回りの方を見ます。
・表面利回りは「年間の家賃収入」÷「物件価格」×100で算出します。
例えば、家賃10万円、物件購入価格1000万円の場合の表面利回りは12%です。
計算方法:10万円×12カ月÷1000万円=12%
・実質利回りは(「年間の家賃収入」−「年間経費」)÷(「物件価格」+「購入時の経費」×100)で算出します。
年間経費とは(直接還元法の説明と重複しますが)管理費や修繕積立金、火災保険料や税金、融資返済額、入居者募集の広告費など、その部屋のために使用した年間のお金になります。購入時の経費とは、その物件を購入するために必要になる経費です。
購入時に必要になる主な経費
・手数料(仲介手数料、司法書士手数料・融資元への事務手数料・手付金振込手数料等)
・不動産登記費用
・保険料(火災保険、地震保険等)
・税金(固定資産税、不動産取得税、印紙税)
このように買取業者が査定をする際には、必要経費を踏まえた実質利回りの方で計算し、更に、物件所有後の利益までを想定したうえで買取額を算出します。そのため、管理費や修繕積立金が高ければ、その分、実質利回りが低くなりますので、いくら表面利回りが高くても、月のランニングコストが高いマンションは敬遠されがちです。
(3)サブリース契約付きの投資マンションは買取を断られることがある
近年この単語をよく耳にする売主様も多いと思います。まずサブリース契約においては、オーナー様はサブリース会社(管理業者)にマンションを貸す立場、即ち貸主様の立場になります。まず、売主(貸主)様は管理業者と賃貸借契約を締結します。次に、今度は管理業者が貸主の立場となり、マンションを借主(入居者)に転貸し、入居者が管理業者に家賃を支払う契約形態のことをサブリース契約と呼んでいます。なお、貸主様と管理業者とで交わす契約は『マスターリース契約(原賃貸借契約)』となり、管理業者と入居者で交わす契約が『サブリース契約(転貸借契約)』となりますが、一般的にオーナーが管理業者に転貸する契約のことをサブリース契約と呼んでいます。
サブリース契約には『家賃保証』が付いている契約と付いていない契約があり、家賃保証付きの場合、賃借人がいない空室時でも管理業者から売主(貸主)様に家賃が入ってきます。但し、家賃保証の免責期間が設けられている契約では、借主が退去後、数カ月間は家賃を保証しなくてもよい免責の期間になっています。管理業者は賃貸管理業務を行いますので、売主(貸主)様は毎月、家賃の10~20パーセントを手数料として管理業者に支払わなくてはなりません。サブリース契約ではなく、オーナー(大家)として例えばマンションの一室を賃借人に貸している場合は管理会社に家賃の5パーセント前後の管理手数料を支払いますので、サブリース契約を選択すると月々の家賃収入が減ることになります。やっかいなことに、殆どのサブリース契約は途中解約が出来なかったり、解約時に違約金が必要だったりします。売主様がマンションを売却したくとも、サブリース契約が付いていることを理由に買取業者から買取を断られるだけでなく、仲介で売却に出しても安い価格でしか売却できない可能性が高いのです。
『管理業者から毎月一定の賃料が得られる』『複雑かつ煩雑な管理業務を管理業者に丸投げできる』という魅力的な謳い文句で契約者を募るサブリース契約ですが、途中解約が出来ないなどのトラブルが絶えず社会問題になっています。インターネットで『サブリース2025年問題』や『かぼちゃの馬車事件』を検索していただきますと詳細がお判りいただけると思います。
11.まとめ

不動産取引は複雑なうえ高額な取り引きになります。まずは、複数の業者に物件を査定してもらい、そして、実際に買取って貰う業者を決める際にはインターネットの口コミなどで、その業者の評判を確認するようにしましょう。 書類や手続きなどで不明な点は不動産会社の担当者にその都度確認し、無駄な費用(管理委託会社の解約通告期限超えで発生する違約金など)や時間がかからないよう、取引完了まで不動産会社とは密に連絡をとりあうようにしましょう。
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最後までお読みいただき有難うございました。