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マンションの頭金とは?手付金との違いや頭金無しで購入する際の注意点等を解説しております

2022.04.28

マンション購入は、住宅ローンを組んで月々返済していくというのが基本です。 ただし、ここで問題になるのが、最初に支払う「頭金」です。
頭金はまとまった額が必要となるため、果たしてどの程度用意すれば良いのか、用意できない場合は0円でもマンションは購入できるのか、気になる点は多々あります。 ここでは、マンション購入時に必要となる頭金の考え方やメリットデメリット、頭金なしでローンを組むことについて解説します。

そもそも「頭金」とはなんなのか?



「マンションを購入するなら頭金が必要」というのは、多くの人が持つ一般常識です。
ただし、頭金は単なる手付金というわけではありません。 一般的に、マンションを購入する時には金融機関などで住宅ローンを組みますが、頭金はそうした借入をせずに、現金で支払うお金を指します。
つまり、事前に手元に持っておかなければならない自己資金であり、まとまった額を準備するためには、きちんとした計画が必要となります。 住宅ローンは、当然ながら借りた金額に利息をプラスして返済しなければなりません。 たくさん借り入れたらたくさん利息が発生するため、毎月の返済額が高くなったり、返済期間が延びたりします。 もし頭金をたくさん準備できれば、それだけ住宅ローンの借入額を少なくできるため、返済の負担が減らせることになります。 つまり、頭金は単なる手付金ではなく、その後の自分の生活資金に関わってくる重要なものなのです。

手付金とはどう違う?

マンション購入時の手付金は、売買契約を締結した証拠のようなものです。 これから解説しますが、頭金の支払いは必須ではありません。
しかし手付金は、契約によっては必ず支払わなければならない場合があります。 マンションが引き渡されるまで1ヶ月程度かかるのが一般的ですが、それまでの間に買主や売主が一方的にキャンセルを言い出す可能性は0ではありません。
そこで、不動産に関しては、こうした一方的なキャンセルが起こらないように手付金のやりとりをします。 契約後に買主がキャンセルしたら手付金は売主に、逆なら手付金の2倍額が買主に返還されるのが一般的です。 「双方約束を守って」という意味だと理解しましょう。

頭金でローンの金利は変わる

最初に言っておくと、実は頭金は0円でも、住宅ローンを組めればマンションの購入は可能です。
ただし、頭金に応じて住宅ローンの金利は変動するため、持ち出しがないからといって即有利だという話にはなりません。 フラット35の金利で見てみましょう。
(借入期間:21年以上35年以下 2022年4月時点)
融資率9割以下の場合:年1.440%~年2.540%
融資率9割以上の場合:年1.700%~年2.800%
(住宅金融支援機構 https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top
頭金が多ければ融資率が下がり、頭金が少なければ融資率が上がります。
つまり、頭金の額によって適用金利にかなり大きな開きが生まれ、準備が足りないと将来の自分の返済負担を重くしてしまうことがわかるでしょう。 資金計画をきちんとしておかないと、後悔することになりかねません。
また、頭金を一定額用意できる場合、金融機関の審査が通過しやすくなるというメリットもあります。 頭金が用意できると、貯蓄ができる→信頼できる→ちゃんと返済してくれる人という判断になり、社会的信用が上がるためです。 逆に、頭金がまったく用意できないとなると、たとえきちんと勤めていたとしても、貯蓄ができない→返済能力が低い人とみなされる可能性があります。 結果的に審査に通りにくくなったり、額が制限されたりする場合もあるでしょう。

頭金はどれくらい準備すべきか?

それでは、頭金はどれくらいあれば十分だと言えるのでしょうか。
これに関しては、正解と言える額やパーセンテージが決められているわけではないのですが、実際の購入者がどれくらい準備しているかフラット35で調べてみましょう。
資金調達内訳:手持金
全国 :758.1万円(16.7%)
首都圏:830.3万円(16.6%)
近畿圏:760.2万円(17.1%)
東海圏:506.4万円(12.6%)
その他:680.3万円(17.7%)
(住宅金融支援機構 2020年度フラット35 マンション融資利用者の主要指標 https://www.jhf.go.jp/files/400357456.pdf
これを見ると、額としては首都圏が高くなりますが、パーセンテージとしてはおおむね17%程度を自己資金として用意している人が多いことがわかります。 一般的な理想としてローンの頭金は2割程度という目安がありますが、マンション購入に関しては金額が大きいこともあり、2割弱が一つの目安になると言えるでしょう。

頭金にまつわるメリットとデメリット



ローン返済の面から見れば、頭金は多いほうが良い=借入は少ないほうが良いというのが一つの答えになります。
ただし、マンション購入に関して言えば、頭金を多くすることにはメリットもあればデメリットもあるというのが正解です。 それぞれを見ていきましょう。

頭金が多いことのメリット

これまで述べてきたように、頭金が多いことには以下のようなメリットがあります。

メリット1:将来のローン返済負担が軽くなる
実際の数字で見ていきましょう。
マンションが3,000万円なら、頭金0円の場合と頭金500万円・借入2,500万円の場合は以下のようになります。
(金利は1%で計算、返済期間35年元利均等方式として)
頭金0円:毎月返済額84,685円 返済総額35,567,700円(利息5,567,700円)
頭金500万円:毎月返済額70,571 円 返済総額29,639,820円(利息4,639,820円)
頭金があるほうが月の返済額は14,000円程度、利息は100万円近く減らせます。 まとまったお金を出すほうが、将来の自分を大きく救うことがわかるでしょう。

メリット2:金融機関などのローン審査に通りやすい期待がある
そもそも住宅ローンが組めるかどうかは金融機関次第です。
審査は、利息を含めてしっかり完済できる能力があるかどうかが焦点ですので、頭金が多ければ多いほど信用度が上がることは間違いありません。 きちんと勤めていても貯蓄がないと、計画的にお金を使えない人物だと判断されやすくなります。 こうした人は滞納される可能性があると見て、低く評価されるおそれがあることは否めません。

メリット3:金利を低くできる期待がある
住宅ローンの種類によりますが、頭金があればあるほど金利が下がるケースもあります。
前述した通り、フラット35は融資率で借入金利を引き下げる仕組みのため、頭金は多いほうが有利です。 金融機関によって設定は異なりますが、とにかく金利は低ければ低いほど良いと考えて間違いありません。

頭金が多いことのデメリット

ここまで読み進めてくれば、頭金が多いことにデメリットなどあるはずがないと考えるでしょう。 ただ、楽に自己資金が用意できる人は別として、実際には生活とのせめぎ合いで生まれるデメリットがあるのが実情です。

デメリット1:準備期間が長くなってしまう
頭金が十分に貯まるまでコツコツ頑張るという人もいますが、数百万円を準備するのはそう簡単なことではありません。
収入にもよりますが、あまりに長期間を要するとマンション購入の時期が遅れ、結果的にローンの完済時期がどんどん先に延びてしまうことになります。 つまり、勤務先を定年退職した後もずっと住宅ローンの返済が継続し、退職後の収入源である年金を削る生活になるリスクが生じます。 安定的な老後生活を確保するためには、あまり頭金の額に縛られすぎず、タイミングとバランスを取りながら資金計画を進める必要があります。

デメリット2:生活が苦しくなる
頭金を使った後に貯蓄がほとんど残らないような状況になってしまうと、生活が困窮するおそれがあります。
たとえば、子どもがいるなら教育費もかかりますし、予期せぬ病気やケガなどにも備えが必要です。 こうした事態に資金がなく対処できなくなってしまうと、返済の負担を減らすために生活そのものを苦しめてしまい、本末転倒になりかねません。 今だけでなく将来のイベントも考慮し、余裕を持った頭金の計画が必要です。

頭金なしにマンション購入をする時の注意点



将来の返済が厳しくなるとしても頭金は準備しない、これも一つの選択ではあります。
現在、マンション購入に関して全額を借り入れてもOKという金融機関も珍しくなくなり、住宅ローンを組むことも可能となりました。 昔は融資額は住宅価格の8割までと定めていた金融機関もありましたが、現在は柔軟な対応をしています。
ただし、どうしても審査は厳しくなりますし、あらかじめ借入先と綿密な相談をする必要があることは覚えておきましょう。
頭金なしにマンション購入をする時は、完済時期がいつになるのか、トータルの返済額はいくらになるのかをしっかり確認し、認識することが何より重要です。 特に利息分はかなり大きな金額になるため、想像以上の負担になる場合もあります。
実際のライフステージと照らし合わせ、購入後にいつの段階で結婚、出産、子どもの進学などが起こりそうか、転職や退職などがありそうかシミュレーションしてください。 イベントごとに出費を計算し、収支を考えることが必要です。
場合によってはフィナンシャルプランナーなどと相談し、どのようなリスクが考えられるか整理してみることをおすすめします。 大切なのは、きちんと無理なく返済を継続し、同時に生活の質も保つことができるかを確認することです。

頭金0円でも現金は必要!

ここで注意しておきたいのは、たとえ頭金を用意しないとしても、一定額の現金は手元に持っておく必要があるということです。
その理由は諸費用にあります。
諸費用というのは、売買契約に必要となる印紙税や登記費用、不動産会社への仲介手数料などを指します。
これらは購入時に発生し、すぐに必要となる現金なのであらかじめ準備が必要です。
どれくらいかはマンション価格や不動産会社にもよりますが、おおむね新築マンションなら住宅価格の3~6%程度となります。 たかが諸経費と考えるのは大間違いで、たとえば3,000万円の新築マンションなら諸費用は90万~180万円前後にもなるのです。 一般的に考えて、すぐに用意できる金額ではないため、きちんと計画しておきましょう。

まとめ



マンション購入時に頭金を一定額準備することで、住宅ローンの借入額を減らし、将来の自分の返済負担を軽くすることができます。
0円でもローンは組めますが、審査が厳しくなったり返済が苦しくなったりする点は否めません。 住宅ローンによっては金利が引き下げられ、よりメリットを得られる期待もあります。
ただし、資金の準備に時間がかかると、老後生活もローンの返済で厳しくなってしまうリスクがあることは覚えておきましょう。 マンション購入時にはライフプランを考え、無理なく資金計画を立てることがとても大切です。

最後までお読みいただき有難うございました。

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